下山~吹上温泉~旭川

またもや朝4時に起床してしまった。
もっと遅くてもいいのに… つーか、時間を持て余す。
だからもう一回寝て、5時に起きた。

暇だ。
ゆとりだ。
安寧だ。

1時間も歩けば吹上温泉に着く。
しかし、開店は9時だという。

できるだけゆっくり過ごすべく行動を心掛ける。
ラジオを点ける。天気は晴れるというが、小屋回りは曇っている。山頂は変わらずガスの海だ。

これで最後か? 朝ラーメンを食し、スープを食し、コーヒーも啜る。
ありったけの水を使い果たし、ザックの収納作業をする。
だいぶ軽くなったザックに、今回の冒険での消耗を感じる。

4泊という長期遠征のハズだが、終わってしまうと短く感じるなぁ。

緊急避難小屋だが、登山の途中で立ち寄る人もいる。
2組の登山者を見送り、3組目が談笑している中、下山に出発した。
7:30だ。

そのまま吹上温泉までいく。
今日は日曜日で登山者が多い。下山中たくさんの登山者とすれ違った。
8時前の下山を奇異に見る人もいるのだろう。挨拶と共に声がかけられたりした。
時間もあるし、駐車場まで見ておこうかな…と思ったが、あまりの人の多さに面倒になった(笑)
あれらに挨拶しながら駐車場まで行き、奇異の眼に晒されながらまた吹上温泉分岐に戻るのはおっくうになってしまった。
もういい、直接行こう。

で、1時間。吹上温泉到着。8:30。

170910_吹上温泉
写真や露天のものだが、本当は日帰り温泉施設に到着。

登山者用の泥落とし設備があったので、開店までゆっくりと装備の汚れを落とす。
9時で入店。でも風呂は10時からだというので休憩室に向かう。

170910_サッポロクラシック
お、酒じゃん🎶
ビールの自販機みっけ。最近、あまり酒を呑んでいないぜ。
そういえば1ℓ 以下の低飲酒日をかなり稼いだんではないか? 健康だね🎵
そのままビールを購入して、体内に流し込む。 …うまい! 北海道はやっぱりサッポロだぜっ!!

座敷の奥に鎮座し、お風呂準備、かつ、撤退準備をして、さらに時間が余ったので日記を記入。
時間が来たからお風呂に入る。

ラジウム温泉だったか?
ネットでは茶褐色の湯色で… と書かれていたが、結構透明だった。
匂いもほとんどなく、なんとなくあっさり系?

道東のお湯は硫黄臭がキツく、濁りも濃かったので「キクーーーーッ!!!」 という感じなのだが、道央はあっさりなのだろうか?

4日ぶりの清めは気持ちよく、文明っていいな、と思わせる。
疲れが取れる… かどうかは置いといて、気持ちはかなりリフレッシュされた。

風呂上がりにビール購入。
腹が減ったが、カップラーメンを購入するよりは浮いた食料を減らそうと思い、明日朝分のラーメンを食べた。
行動色をツマミに、今後を考える。

本当なら、装備を乾かしたり掃除したりして、山近くの夜空を眺めながらキャンプしようと思っていたが、生憎の曇り空。しかも結構雲が厚い。これはいくら待っても晴れ間はでなそうだ。
…で、あれば、旭川に向かうか? うまいもの食うか?

そんな気持ちも高まってきて、街に向かうことにした。
14時前、今日2本目(!)の駅行きのバスに乗る。
さらば十勝。今度は晴れたときに登りたいぞ!! あばよ!!


上富良野駅に到着し、少ないJR電車を待つ。
かなりまったりだなぁ。
そして来た電車は…

170910_ノロッコ電車
なんとノロッコ電車。
観光名物的な電車に乗れてしまうとは。

富良野に来て天気は晴れてきた。
富良野と言えば自然いっぱい。見たいものがありそうだが、情報を仕入れていないし、どうせ半日じゃ見きれない。どうせ見るなら本気で来よう…ということで、未練なくノロッコに乗車(笑)

美瑛までをゆっくり走る。
車窓からは北海道の雄大な農地やら、先まで伸びる直線やら、、、北海道らしさがよくわかる。

美瑛からは普通電車に乗り換えて旭川に向かう。
ここで問題。今日はどこに泊まるんだろう?
ホテルをネットで探し(やっぱり途中で電波が途切れることもある)、旭川駅でようやく決めた。
日曜日ということもあり、駅近だけれど激安だ。

ホテルに行く前に軽く食事がしたい。そして登山靴で歩くのが野暮ったいのでサンダルも欲しい。
欲望を叶えるついでに旭川探索。でっかいザックを持って何してるんだか(笑)

170910_一蔵ラーメン
とりあえず、一蔵ラーメン。旭川はしょうゆです! 美味でした。お腹いっぱいになっちった。

デパートでサンダルも購入してホテルにチェックイン。
ツインの部屋を割り当てられて広くてラッキー。
くつろいだら根が張りそうなので、暗くなったところで呑みにでかけた。

また旭川探索。グーグル先生に頼りっぱなし(笑)
北海道さみー。マジ、もう秋深いわー。
170910_旭川寒い

おひとり様でも歓迎、の、海鮮居酒屋に入る。
170910_牡蠣
170910_海の幸
独りでビクビクしていたが、酒を呑んだら落ち着いた(笑)

大きな牡蠣と海鮮。
他、イカ焼きやらまた牡蠣やら…と、大いに食ったし、呑んだ。

満足してホテルに帰宅。

今日一日を振り返って、

「ああ、文明っていいなぁ。すげー、たのしい」

と、のたまって就寝したのでした。



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51座/百名山【十勝岳】

どうせ晴れていないだろう。
そう思って目を覚ましたのは4時だった。
外は明るみをはらんできている時分。

でも今日は長く歩くことになるだろう。
藪漕ぎもあるかも。。。ああ、トラウマ。
サッサと起きておかないと…

と、外を見ると… 晴れている!

即座に表に飛び出して、今にも出そうな太陽光に映し出せれる山脈の影。

170909_十勝岳へ01
この双子池野営指定地は、多分、晴れてさえいれば美しい景観を見ることができる場所だ。
藪漕ぎの果てに吐き出された場所かもしれん。
ずぶ濡れで、寒さに震え、溜まり水をすすり、豪雨にさらされたとしても(やっぱトラウマだわ)、ここは多分、美しい。
その真の姿がここに現れる!

素晴らしい! 紅葉と日の出と山影のコラボ。
やべぇ、いつまでも見てられるぜ…
…と、カメラが急にダンマリする。あれ、電池切れだ…

マジかよー! 昨日充電したじゃん! なにこれ!!

叫ぶボクだがカメラは容赦なくシャットダウン。
これ以降、何をしても1秒で電池切れとなる。
しゃーなし。こっからはスマホでがんばろう。

とにかく、日が昇る間に食事を摂る。
今日の夕飯のことも考えて、溜まり水も少しだけ補給しておく。
出る時間は6時としていたが、少しだけ遅れて…

急にガスってきた。
即座にガスった。
つーか、もう、山脈見えねぇ…

たった15分で視界が100m ほどになってしまう。
まだ冷たい風と、少々の雨に晒される。
どうやら、山の祝福は終わりのようだ。
『さぁ、もういいだろ、さっさと旅立ちなさい』
とでも言うように、あからさまな豹変ぶりに退去する。
「本当、今度は晴れてるときに来たいわな。(藪漕ぎさえなければな!)」
ボクは晴れた日のこの地の素晴らしさを感じたかったが、出発を余儀なくされた。

さて、
ここから一気に500m 以上標高を登る。
コースタイムだと2時間だが、少しでも時間を稼げるとうれしい。
本日最初の難所は、突如立ちふさがるわけだ。

雨と霧がすごい。
いや、雨はさほどではない。霧がすごい。
視界は100mを下回ったのではないだろうか? 本当にあまり見えない。
登山道をしっかり確保するのに注意する。
藪漕ぎは今のところなし。良い登りが続いている。

1時間30分後。最初のピークに辿りつく…が、

『びゅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』

風がマジ、やべー。

ガスで視界が悪い上、稜線向こうからの吹上の風が半端ない勢いでボクを打つ。
気温は確か7℃だったが、風のせいでかなり寒く感じる。
レインウェアの上下を着ているが、まったく暑くない。蒸れも汗も感じない。
やや、肌寒いくらいで済んでいるが、ハッキリ言って、風はやばい。

稜線の細いヨコバイなどはバランスを崩さないように気を付けた。
不意な強風にさらされたらバランスを崩して滑落しそうだ。
それほどに風が強かった。
逆に、山影に隠れることができれば全然暖かかった。
本当ならこの温度なんだよな…と、冷静になりながら先に進む。

そういえば、今日は藪漕ぎがない。全くない。
良い道だ。一般的な登山道だ。
昨日までの道程とくらべ、明らかに違うこの道は、人が通る道だった。
ここまでの登山はされるのか?
大雪山系から十勝山系の山脈に移る際の間の空間(昨日ボクが通った道)だけが人気ないのか?
昨日苦しめられた藪漕ぎゾーンとは全く違う、トレッキングの世界がそこにはあった。

いいぞ、ロケーションこそ最悪だが、道が良ければ差し引きゼロという計算ができそうだった。

それ以降、ガスと風には悩まされたが、進みは早かったと思う。
時折ガスが晴れることもあったが、十数分と持たず、だいたいはガスと風の一日になる。

美瑛山を越えると、ようやく十勝岳に足が掛かる。美瑛の登りはじめまでが10時半だ。
躊躇なく、美瑛の登りに差し掛かる。
ガスが強い。視界は50mか?
風もさらに強くなった。ときより吹く強風でこけそうになる。明らかに朝より速い風だ。

「!!…寒い、だと?」

とうとう登りで寒さを感じてきた。
登りで寒い。これは由々しき事態である。
防寒具を着るか、このままいくか。
防寒着を着て暑くなるリスクが嫌で、そのまま進むことにする。が、寒い。

美瑛頂上。11時半。
寒い。
ここから十勝岳へと向かえるはずだ。コースタイムは2時間半だったか。
…だが、見つからない。
登山道がみつからないのだ。

方角的に進んでみると、滑落コースな急斜面。
登山道と思わしき道を進むと… 美瑛-十勝分岐まで戻ってしまう。
おかしい。くそ寒いのにグズグズしている暇はない。
ボクの脳裏に(引き返すのか?撤退か?)というイメージも浮かんできた。
それほどに事態は急いていたのだ。
とにかく風が冷たく、視界がない。
道をロストしたら最後、どういう迷い方をするかわからない。滑落する危険もある。

そんなときの強い味方、GPS!!!!!!

登山地図をリンクさせたスマホのGPSを起動させる。
これで見つからなければ、美瑛麓からの撤退も視野に入る状況だ。

「おかしい。この道がここで終わってはいけない。南に行ける、急斜面ではない登山道があるはずなんだ…」

滑落しない安全確保レベルで南端まで進む。
ない視界の中、右手に赤い矢印を発見。みつけた!!
隠れ道かよ。。。

稜線の細い崖渡りがあったものの、それ以降は比較的チョロイ道が続いた。
玉砂利の上を歩く。地表が黒い玉砂利だ。ここは火山なのか?
富士山を彷彿とさせる登山道を進む。

美瑛の登りの凄まじさに比べ、風がないだけで本当に緩く感じる。
「チョロイな、ここ」 そう思ってしまう。
ほどなく、十勝岳麓に到着。そのまま登る。
マジで富士山の砂走みたいなところで、思ったより登りが面倒。
でも、風がないだけマシ。命の危険がないというのは意外に心に余裕を持たせるものだ。

というのもつかの間。
ついうっかり道を間違えてしまい、いつのまにかクラックを登っていた。

リボンが見えたのだ。登山道のリボンが。
だからクラックを登ったのだが、いくつか岩を登るうち…

「あれ、これ、難易度高くね? いままでの十勝難易度がおじいちゃん登坂レベルだったのに、ここ、山男登山レベルになってるんですけど?」

気が付くと傾斜50度ほどの砂走。
一歩踏み込む… すると砂走により踏み止まれず下に流されそうになる。
雪の日みたいに爪先でキックしてから踏み込む… んでもダメみたいだった。
これは砂走は危ない。

左手には切り出して層になっている岩がある。
これを伝って登れば、なんとか安全圏に入れるのでは?

岩に取り付く。
しかし、触るともげる。踏み込むと踏みぬかれる岩ばかり。
ボクの体重を支えるのは心元ない。

緊急事態だった。
降りようとすれば、きっとどこかで足を滑らせて滑落しそうだ。
砂走はアリジゴクのように滑落するだろう。
固定された良い岩を見つけなければ、掴んだ岩がもげて滑落なんだろうな。

ボクはWストックを背中に納め、ハンズフリーになった。
ほぼ四つん這い… スパイダーマンスタイルで岩を登り、砂走を這った。
緊張で息が荒い。マジ、一つのミスが滑落を生む条件下だ。

このまま登るか?
登れば頂上はひとつに絞れるから必ず正解にたどり着くだろう。
しかし、滑落リスクは高まらないか? このまま難易度が上がり続けたら…
そう思い、冷や汗をかくが、思いついたこともあった。

本ルートはどこだろう?
できるだけ横這いに進めば本ルートに合流できるのでは?

頂上へ向かう線と、本ルートに復帰の線で登坂開始。
少し進んでは緊張した足と体をほぐし、あたりを見渡して最良のルートを探す。
安全、安全。
とにかく一番安全なルートで頂上か本ルートに復帰するのだ。

しばらく横這いしたころ、砂走の角度が緩んだ。
見渡すと… 表示が見える! どうやら本ルートがそこにあるらしい。
角度が緩んだ砂走なら、転んでも滑り台のように滑るだけだろう。
本ルートに復帰すべく、駆け出した。

そして復帰。
今回の旅で一番の命拾いだった。

息が荒い。
安堵感が半端ない。
危なかった…。

息を整えて、靴のなかの砂利を掃って、再出発。

170909_十勝岳へ03

視界は相変わらず悪い。20m かな? 本当に見えない。
そんななか、とにかくもう本ルートから外れたくないボクは、注意しながら進む、、、が、これも難しい。
20m の視界ではすぐにどこにいったらいいかわからなくなるのだ。
砂走なので足跡がない。遠くが見えないので全体的な流れがわからない。
しかし、表示は短い間隔でそこにあり、ギリギリ、前の表示が消えて見えなくなる前に次の表示が見えることに気が付いた。でもギリギリだ。

そんな感じで進んでは道を修正する作業を繰り返す。
ハッキリ言って眺望もないし、風も強いし、遭難ポイントではあるのだが、もうここまできたら十勝岳に登りたい。もう、登ったっていう証拠が撮れればいい感じ(笑)。

ふと、一気に晴れだした。
日光に見放されていたから、暖かい日差しなんてこの世にあると思ってなかった。
不意にガスが晴れる…

「あ、頂上だ…」

そこに頂上があった。
晴れてる内に…写真を撮る。
そして登る!

170909_十勝岳へ02
登頂。
疲れた。
さくさくと補給を摂って下る準備。

予定では上ホロ野営指定地というところで今夜は過ごすつもりだった。
が、これ以上稜線上にいて楽しいか?
稜線上はこれからも強い風とガスに苛まれると思われる。

静かで綺麗な夜を期待しての稜線泊だが、どうやら期待できないと思う。
逆に、苦労ばかりするだろう。
ならば… 降りよう。

最短ルートとして準備していたエスケープルートを進むことにする。

途中、硫黄臭がキツくてガス死するんじゃないかと思われるところもあったが、なんとかルートも確保して進めた。

170909_十勝岳へ05

あるとき、ふと、晴れた。
振り向くとガスの層がある。
横を向くと… ハッキリとガスと清浄な空間の層ができていることに気が付いた。
1500m 地点から上がガス。下が清浄。
これはダメだ。これは稜線上はしばらくガスだ。そう思って、降りてきたことは正解だったと確信した。

170909_十勝岳へ04
十勝岳緊急避難小屋には野営指定地のマークが出ていたハズだが、営幕できそうなところはなかった。
…ので、今夜は小屋にお邪魔することにした。

誰が入ってくるかわからない小屋って、案外怖いのだが、今夜は誰もこなかった。

最後まで残ってしまったビールとスコッチを平らげ、ラジオを聴きながら、世は更けていく。
1300m ほどのこの地点でも、今夜はやっぱり雨だった。

170909_十勝マップ





50座/百名山【トムラウシ】

170908_トムラウシ・藪漕ぎ01
本当なら昨日に登って締められるハズだった山、百名山 トムラウシ。
披露と計画外ナイトゲームになってしまったが故、今朝登ることに。

とはいえ、本日の行程は控えめだ。
なぜなら、次の野営地まで6時間半のコースタイム。
もう一つ先の野営地まで進むには更に3時間のコースタイムが示されていた。
それに空手で済むとはいえ、トムラウシに登って帰ってこなければならない。往復1時間か。

昨日のこともある。
10時間超を見込むのはしんどいと思えた。
だから次の野営地までとしよう、楽して次に備えよう、ということにした。

昨晩は少し遅かったから、本日は5時起床。
朝飯だけ食べて、軽装でトムラウシ登山と洒落込んだ。
標高差は100m くらいで済むのではないだろうか。
水と飴ちゃんと、双眼鏡とスマホとカメラをもって登る。
体が軽い。
いいなぁ、軽装は本当に登山のレベルを下げてくれる… いや、重装備が登山の難易度を上げているのか。
ともかく、ヒョイヒョイと登っていく。
30分強で登頂。

ああ、本当なら昨日登っていたのにな。。。とはいえ、重装備でここを越えると思うと膝が痛い(笑)
朝イチ、足の痛みも回復している今、軽装だから軽々登って来られたし、降りることもできようが、昨晩の状態で登頂と下山はどうなのだろう。更に苦行めいてはいないだろうか?

トムラウシ頂上。
ガスこそ出ていないが、曇り空。
ま、それでも眺望があったので良しとしよう。

昨日歩いた行程はすでに遥か彼方。見えない。
それほどに進んできたのか、と、呆気にとられる。

昨日も思ったが、意外に山が遠くなるのが速い。
多分、標高差が少ないトレイルが続くので、水平距離を稼いでいるのだろう。
振り向くたび、さっきまでいた場所がどんどん遠くなるのが見て取れた。
それはもう、“さきほど” が、“過去” になるくらい遠くの風景に見えるのだ。

もし、誰かひとり友人を連れてきて、「あそこまでいくよ」と言ったら、
『イヤイヤイヤ、あんなとこまで行けるわけないでしょ? あれ、隣の山脈じゃん!』
とか言われそう。
それくらい、もう地続きではないかのように遠くに旭岳が存在する。

写真は昨日の反省を込めて、膝を折って撮影した。


さて、野営地まで下って7時半。
ゆっくりと撤収した8時半には出たい。
つーて8:45出発。

しばらくは岩場が続き、今日は楽だな、、、とか思いながら進んでいたが…
「???????}
170908_トムラウシ・藪漕ぎ02
膝下くらいまでのブッシュが多くなってきた。

短パンで進むのも辛くなってきたし、にわか雨も降ってきた。
ここはひとつ雨ズボンを着用して進む。

さすが北海道。
ワインディングは素晴らしく、見晴らし最高。
曇っているのが残念だが、開けたところはまるでファンタジー世界のようだ。

170908_トムラウシ・藪漕ぎ03
だが、なんか藪が濃くなってきたような…

170908_トムラウシ・藪漕ぎ04
あれ、これ、獣道…
えっ、これ、登山道なの???

胸ほどにも育ったブッシュがボクの行く手を阻む。
つーか、あまりにも登山道だとは信じられなかったから、今回初めてのGPSを使って確認しちゃったよ!
「オンコース…」
確かに、ここが登山道らしい。

ブッシュに入り、凄まじい距離を歩かされる。
迷っているのと間違うくらいの不明瞭さの道。
「ぜってぇ、この道誰も来てねぇよ!! 人気なさすぎでしょ、この道!!」
もう、どこからクマが出て来てもおかしくない。
クマと鉢合わせ…あり得なくない状況が続くが…
「いや、こんなにガッサガッサしてたら、先にクマが気づくでしょ! 熊鈴要らないからっ!」
とか、叫びながら(熊対策)先を急ぐ。
にわか雨が降ったあとだから、全身びしょ濡れだ。

下りでブッシュ。
登りでブッシュ。
ストックも使いづらい状況が続き、意外に疲労する。

登りで一息ついているとき、登山道の先で尻尾が見えた。
『くまっ!!??』
…いや、それにしては小さい。大型犬くらいの生き物だ。
ということはキツネ?

尻尾と行先は一緒。
ボクは避けることもできないので後を追う形になってしまった。

すると…追いついた。
キツネだ。

キタキツネ…だろうか。

昨日はエゾリスのオンパレードに逢って心和んだが、写真は撮れなかった。
今回のキツネは撮れそう?
と、用意していたら先に行かれてしまった。

逃げられたか?
と思い、後を追ったが、もう見えなくなってしまった。

ああ、また惜しかったなぁ。
写真に撮りたかった。

残念がりながらしばらく進むと、鎖場。
ああ、ここは登山道で合っていそうだ、と、人手が加わったところを見ると安心する。
鎖場を過ぎ、にわかに登りを終えて人息つく。
ふと、振り向くと…

170908_トムラウシ・藪漕ぎ05

ボクはキツネに狙われていた(笑)
しかも2匹に増えてるし。

間近に垣間見るキツネを前に、しばし恐怖する。
しかし、キツネが人を襲うとは聞いたことがないし、例え襲われてもコイツには万にひとつも負けないだろうという浅い自負でカメラを構えた。
彼らはボクが珍しいのか、逃げるそぶりはない。
むしろ、ボクを追っているようだ。
縄張りで監視しているのか、弱ったところを襲うのか? ただの興味なのか???
それはわからないが、しっかりと写真を撮ることができた。

あとは彼らの邪魔をしないように登るのみ。
しばらく経って振り向くと、もう追ってこなかった。


藪漕ぎが続き、、、、終始続き、想定よりも激しく疲労していた。
雨も降るし、ブッシュの露で全身ずぶ濡れ。
結局、本日のキャンプ地、双子池野営指定地に到着したのは15時半を回ってしまっていた。
コースタイムを上回ることができなかった。
結構カライわ、このコースタイム。

明るいうちに着いたはいいが、天候は下り坂。
水場がないのが結構致命的… だが、もう水がない。
ここは取っておき、浄水器でたまり水を取水するしかない。

北海道の山では飲める生水は貴重品。
今夜の食事用、煮沸させる必要のある水は、その辺の溜まり水を浄水器で濾して作ることにした。

気温が下がってくる。
でも8℃。
昨日までのキャンプ地とは違い、ここは標高が500m も低い。
0℃までは行かないハズだ。
とはいえ、全身が濡れている。
このままキャンプ着に着替えたいところだが、明日の再着用を考えると少し乾かしておきたい。
つーことで寒い中、2時間着用。そこそこ乾いたかもしれない。

キャンプ着に着替え、整理体操とストレッチをしながら夕食の準備。
…をしているとゲリラ豪雨に巻き込まれた。
結構な量の雨が降る。
1時間ほどで止んだが、それからは外はガスばかりでキャンプ着も濡れそうだから出なかった。
本日夜はテントで過ごすことになった。

楽勝なハズの行程が終始藪漕ぎ。
もう、藪漕ぎはイヤ。トラウマだ。
明日の行程はどうなのだろう。
この野営地からすぐ、登りが標高2000m 越えるところまで続く。
そこまで行けば、森林限界があり、ブッシュはやってこないように思えるが…
いや、このまま藪漕ぎが続くかも?!

不安のままに就寝となった。

170908_トムラウシマップ

1day短縮ロングトレイル

ボクには野望があった。

今回の縦走。予定では5泊6日のハズだが、4泊5日にしたかった。
北海道滞在は7日間。
山が4泊で終われば、二晩自由になれる。
ひと晩目は麓の町で装備を乾かしたりきれいにしたりしながらキャンプして星空を眺め、ふた晩目は街に繰り出し魚介などで呑みたかった。

と、いうことで、どこかで無理をしないとならんかった。
それが今日、なのだ。

170907_1day短縮ロングトレイル01
朝4時起き。
さ、寒い。温度を見ると0℃ の表示。寒いハズだぜ。
野営地に張られたテントはボクの物も含めて3張。
昨日ボクより早く入って、すぐに就寝していると思われるテントの男性はもう準備を終えようとしていた。
写真は5時頃の、彼が登りはじめたときに太陽が上がったのでカッコイイな、と思って撮った写真だ。

ボクも予定通り、朝ラーメンを食べて撤収作業に入る。
6時、出るころになって昨晩遭難しかけたアベックとルートの確認をして別れた。
朝から笑顔で送り出されるのはいいことだ。
今回の山行。この後、同じ地に泊まった人はいないので、これが最初で最後の登山者とのコミュニケーションになったな(笑)

170907_1day短縮ロングトレイル02
広い。
広いよ!! 北海道!!

広大で壮大なフィールド。
山の稜線なのにこの広さ。気分は外国(行ったことないからイメージだし、名前もでねぇ)、北欧かっ!

登山者は少ないが、ボチボチ歩いている。
挨拶を交わしながら、晴れてよかったですねー、なんて言って笑顔で歩けた。

白雲小屋を過ぎたあたりから人けがなくなる。
みんな小屋横の山に登っていた。
トムラウシ山への縦走をする人はいないようだ。
ここをトレイルする人はいないのだろうか?

…が、今日は強行日。休みはない。
腹が減ったら歩きながら行動食を摂り、水で流し込んで腹を膨らます。
5時間ほど経って、足が痛くなってきたが、いつものことだ。気にしない。

しかし疲れてきた。
と、共に空も曇ってきた。
15時を越え、気温も下がり始める。
そんなころ、ようやく人に会う。
向うから来た人だ。
挨拶だけしたが、本当にこの縦走路は人がいない。
不安になるくらいだが、地図にも乗っているし、登山道も明白。木道だってあるくらいだ。
だから不安はないハズなのだが、こうも人がいないと気になるものだ。

誰からも見られていないこともあって、大いにバテてきた。

日没まであと2時間だというのに、目的の野営地まで数キロある。
3時間で着くか?

170907_1day短縮ロングトレイル03
この沼にも野営場があるが、ここはすでにパスしていた。もう一つ先まで行きたい。

この縦走路、野営地の間隔が結構長い。
1つパスすると5時間くらい歩かないと次の野営場に着かない。
予定ではこの沼の前の野営地で休むハズだが、無理をしている。

170907_1day短縮ロングトレイル04
疲れがMAX。足の痛みもMAX。
ヒイヒイいいながら登ったり下ったり…平地を歩いたり。
とにかく遠くまで道が見えるので道のりが長く感じる。

もう、このころには幻聴や幻が見えるような気がして…
「くっ、上昇負荷がキツイ… アビスの呪いかっ!」(現在絶賛放送中!【メイドインアビス】より)
「この岩石群のなかに、必ずメガンテ使えるやついるハズ…」(ドラクエ・爆弾岩より)
とか考えたりしている。
自分ひとりと言えども、ユーモアなしではやってられない状態だった。

そろそろ辺りが暗くなってくる。
18時にトムラウシ麓に到着するが、これからひと登り、、というわけにはいかないだろう。
丁度いいことに、迂回したすぐ先が今夜の野営地だ。
今日はトムラウシを外して、すぐに野営地に向かおう。

ヘッドランプこそ点けていないが、あたりはもう暗い。
暗いということもあり、もうすぐ野営地で集中力が切れていることもあったのだろう。
数百メートルというところで3回も道をロストしてしまった。
もう苦笑いしかでない。

170907_1day短縮ロングトレイル05

ランプを点灯させずに済む、ギリギリの時間帯で 南沼野営指定地 に到着。
18:30 頃到着。
6時に裏旭を出てこの時間。
休憩はトータルでも2時間くらいだろう。

重たい足を引きずり、テントを張る。
どうやらこの野営地はボク一人のようだ。
先ほどの沼は2張、双眼鏡で確認できた。この場所は人気がないのだろう。
ま、あると思われた水場がないのだから人気がないのも仕方がない。

すぐに食事に取り掛かり、2本持ってきたビールの1本を飲むことにした。
今日のボクはがんばった。が、計画としては無茶で失敗だった。
どんなことがあってもナイトゲームに入らないようにしなければ。
だって、暗くなっただけで道をロストしてまうんだから…

昨日、暗くなって降りてきたアベックのことを思い出す。
「人のことなんか、全然言える立場じゃないな」
とにかく猛省してビールを煽るのだった。

とはいえ、2日分の工程を今日1日で終えられた。
これで1泊稼げたかもしれない。

今後どんなことがあるかもしれない。時間は貴重だ。
ムリした成果は確かにここにあった。

肩、腰、足、足裏… 痛いところはたくさんある。
明日も歩く。
食事を作りながら、とにかく整理体操をし、ストレッチをした。
少しでも、明日に繋げられるように…。


その晩は曇ったり晴れたり。
満月の空に星は少なかったけど、トムラウシの影が濃く浮き出て、爽快だった。

広い野営地で独り。
寂しい感じはしたけれど、この地を独り占めというのは悪くない。
人目も気にせず、楽しく過ごせたひと晩だった。

170907_1day短縮ロングトレイルマップ


49座/百名山【旭岳】

予定より2時間半遅れて、旭岳ロープウェイ行きのバスに乗り、到着。
腹減った。北海道に来て、まだ酒しか飲んでねぇ。

ロープウェイ駅構内の食堂でメシを食う。
170906_ホルメン

金を払ってメシを食えるのはここまでだ。
あとは背負った分の食事しかできないのだから、しっかりと採っておきたい。
で、ラーメン(笑)
ホルモンラーメンを購入した。実際、ボクはホルモンもラーメンも同じくらい好き。
いろんな名物があるだろうが、それは最後の旭川観光に持っていこうと決めており、ここでは目いっぱい栄養になるものを食っておくに限る、と思って食っていたのだが…
後に知ったことだが、旭川のソウルフード…と呼ばれるものの中にホルモンとラーメンがあり、それを合わせて料理にしたものが『ホルメン』というのだとか。
マジか。
期せずして旭川を堪能していたことになる。運命だな(笑)

さて、自然の中に突入するための最期の準備だ。

水… 水が大事なのだ。
北海道は山に入ったら生水は飲めない。寄生虫がいるというのだ。
だから生で飲める水は重要。なんにでも即座に使える水は大事なのだ。

ということで3ℓ の水筒と、1ℓの水筒と、500mlのペットボトルに水を入れた。
山行の予定は5泊。理想は4泊。
登山行動中だけでも1日1ℓ 必要だと考えて、持てるだけ持つことにしたのだ。
これで4.5㎏… なんとか5㎏ を切ったか… と思っていたが忘れていた。
ビール2缶、700ml を積んでいたのだった。
総じて5㎏ 以上、持ってしまった。

ロープウェイに搭乗…しようとして職員に声を掛けられる。
「今から片道で登るんですか? 上で監視員に戻されるかもしれませんよ?」
どうやら時間が問題らしい。
15:15。
キャンプ地までMAX3時間予定で計画している。18時強ならまだ明るい。
「キャンプできるところまで遠いから…」
と、職員は言うが… どうやらボクの速度を知らない。

「大丈夫だと思ってますよ?」
「そう言えば監視員も通してくれると思いますけど…」

職員は心配げ。
これもあとからわかったことだが、どうも北海道の登山は内地のソレとは条件が違うらしい。
結構遭難者がいるっぽいのだ。

とはいえ、そろそろ計画に遅延はさせられない。
ボクは丁寧に自分の意志を伝え、ロープウェイに搭乗した。

紅葉が進んでいる。
ということは朝晩でかなりの温度差になるのか。
今、丁度良くても… これは警戒しておいた方がいいな、とか考えながら景色を眺めて10分ほどで到着。

同じく搭乗していた客に団体客がいたので、彼らの陰に隠れて進む。
監視員は団体客を制止して、トレッキングの説明を開始。
ボクもそれに倣う。あまり目立って登山を止められたくない。

説明が終わるや否や、颯爽と風のようにその場を去る。そして準備なしで登山開始(笑)
とにかく止められるのは面倒だった。その会話を持つこと自体、時間も取られるからだ。

170906_旭岳01

ロープウェイで上まで来る人はこれを見る。
旭岳の圧倒的な美しさは、池に映し出されることで2倍にも感じる。

旅の始まりはすでに終わっていたが、いわゆる "冒険の始まり" はここからだ。
心躍っていた。

登坂に差し掛かる。
手持ちで水3ℓ は重いが、2時間強だと思えばたいしたことはない。

170906_49座_旭岳

実際1時間40分で登頂。
旭岳、北海道で一番高い山だ。

17時を越え、気温も下がってきた。5℃だった。
霧も覆いかぶさってきて、寒さのレベルを上げてくる。
今日のキャンプ地、裏旭野営指定地が近いハズ。
すぐに降りよう。

1km あるかないか。
標高にして100m 下がったかどうかのところにソコはある。

ボクは暗くならないうちに到着できたわけだ。
ロープウェイ職員の心配は徒労に終わったわけだ。よかったな。17時半到着。

気温は4℃ になってきた。
手がかじかむ。
テントを張り、キャンプ着に着替えて食事の準備をする。
ロープウェイ食堂で食ったが、明日からのこともある。食べておくにこしたことはないのだ。

19時を越えたころ…
空はもう暗い。晴れてはいるのだが、旭岳山頂部は雲が掛かっていた。

そんなところからヘッドランプと思われる光が見えた。
「キャンプ者か? …遅い時間に来たもんだな、職員のヤツ、ボクにいろいろいう前にアイツら止めろよ!」
当然、ボクより遅くロープウェイに乗ってきたと考えられ、暗くなってキャンプ地に着くという危ない橋を渡る登山者は注意しなければならないと思った。…のだが。

「もう、泣きそうでした~(涙)」
と、語る女子と、その彼氏(白人男性)。
どうやら道がわからなくなっていたらしい。
山頂に着いたはいいが、ガスが濃く、周りが見えない。暗くなってきたからなおさらで、下り始めたはいいが、本当にこの方向で正解なのかがわからなくて不安でいっぱいだったらしい。

そんな中、ボクのLEDランタンの光が見えた救われたという。
「わざと光らせてくれたんですか~!」
そんなわけない(笑)。お前らが遭難しかけてたなんて知る術はない(笑)
しかし、ボクの行動が君たちの救いになったのであれば、それは良かった…と思おう。

このアベック、実は登りで見かけていた。
旭岳と池の写真を掲載したが、それを撮ったその時、その場所にいた二人だ。

女性の方は、今勤めている工場にいる子に似てるな…と思ったし、彼氏が白人男性だったのだ目立ったのだ。
あと、ただの登山者にしてはマットがデカかった。まるでキャンプにでも行くような… まさかな、と思いながら先を急いだのだったが…

彼らはボクより先のロープウェイに乗ったと推察できる。
ボクより足が遅かったし、追い抜いたからだ。
ということは、職員の心配は当たったことになる。
こういう人もいるのだ。
危ない橋を渡った…が、まずは到着してよかったな、としておいた。

怖い思いをした後に、だから言わんこっちゃない! なんて叱ったら悲しくなってしまうだろう。
まずは良かった!! 生きててよかった!! 到着してよかった!!

もう寒い。
テントを早く張って、暖かい食事を採った方がいい。
安心してもう休みなさい。

北海道登山の怖いところを垣間見たようだが、自分のことじゃないので身に染みたわけじゃない。
…が、これが序章だということは、後から気が付く。

冒険は希望だけじゃない。

とりあえず、明日からの本番トレイルに備えて、就寝するボクであった。


170906_旭岳MAP