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空虚惑星⊿X

何か有意義なことをしようと改めて考えてみたら、「アレ?何もやることないぞ!」と気が付いた星の人が綴る日記

前世代の話

例えば…

昭和初期の時代。
あるところに10人兄弟がいた。
男4人、女6人。
長男から末っ子までの歳の差はちょうど20歳の大家族だ。

だが、時代は戦後。
10人兄弟が揃って食卓を囲むことはない。
末っ子が物心付く頃には上から5人は働いていた。

中卒で丁稚奉公。
そんな時代。


時は流れて平成24年。

両親はとっくに死んだ。
兄弟も4人死んだ。
男ばかり、長男から三男までと、六女が死んだ。

父親と長男は酒が元で逝った。
母は痴呆の末、老衰。
次男はガン。
三男は事故。
六女は不治の病。

箇条書きで著せば簡単だが、それぞれがいわくつきの死に方だった。
いつも喧々諤々。
金と憎しみと、孤独が生んだ死だった。

戦後の辛い時期を過ごしたせいか、兄弟は会えば金の話をした。
そして貸し借りをし、金を返さずに悪態をつく癖が身についた。
その悪態が、集落育ち特有の身勝手な噂を作って悪人を作り上げる。
自分の兄弟だから性質が悪い。見境なく、容赦なく悪態をついた。


『うそつきだ』 『悪人だ』 『金の亡者だ』 『親殺しだ』


兄弟がお互いを助け合わなくなるのは自明の理だった。
父と長男は酒に溺れて死んだが、他は自らの招いた業に因る孤独が原因だったと思う。

悪態をつき、兄弟を信じられず、そんな状況で孤独になって寂しさで死んだ。

その証明となるかはわからないが、
次男は子供に冷たくされた。そして自ら孤独に陥り、無念の内に眠る。
三男は母親の面倒を診ていたが、母親の死後、一年で自殺した。記録は自損事故だった。
その母は痴呆で老衰だったが、危篤だというのに三女が意味もなく長距離移動させた途中で逝くことにになり、他の姉妹からは『親殺し』のレッテルを貼られることいなる。
六女は子供2人に恵まれたが、その2人が険悪だった。その険悪さが両親に飛び火した形で疎遠になり、元々精神的に強い方ではなかった六女は病に倒れた。

それぞれが、普通とは言えない死だったと思う。


今、兄弟は六人残っている計算だが、末っ子の四男が行方不明だ。

昭和の中期。
自衛隊と言えばかなり安定した職場だったにも関わらず、四男は兄弟の縁者にたぶらかされて除隊。
縁者の元で働くも失敗続き。
身が持たないので自分で職を探して働いたが、彼の優しさから借金の保証人になってすぐ裏切られ、平成の初期には逃亡生活に入る。

もう20年以上経つ。

大阪から一通の手紙。
四男の支援、もしくは引き取りを乞う通知だ。

比較的良好な関係をなんとか保っていた長女と四女がそれを知り、四女の子供が四男を憂う。
だがすでに四女の息子はガンを患い、身動きが取れない。
長女は老体で不自由だ。
四女は元気だが、さすがに一人でどこへでもいけるという器用さはなく、初老で行動するには危うい。

白羽の矢は次男の息子に向けられる。
次男の息子は人当たりもよく、頼まれごとはよく聞いたが、とにかく人づきあいがなくて頼みづらい人間だった。
そして次男の家系をことさら嫌っていた。自分の血も好きとは言えないようだった。

だが、健全で強健。変わってはいるが筋が通っており、信用できた。
もし、彼の首を縦に振らすことができれば、とりあえずのことはやってくれる。無下に裏切るということはない。
そんな期待ができる人間だ。

家系の人間を親身に感じる四女の息子と、兄弟を唯一心配し続ける長女と四女。
そして強健、健全で信頼に足るが、家系の血が嫌いな次男の息子。

メンバーはどうしてもこれしかおらず、そして動けるのは次男の息子と四女のみ。
次男の息子はなんでもできるが家系には関わりたくないと思う一方で、親族を憂う気持ちを持つ人間を尊んだ。
四女は兄弟の愛で、なんとか家系と四男の行く末を案じる。

動けるとはいえ、この2人も何かしら足りないものはある。

次男の息子では、四男は救えない。いや、救う気すらない。
四女だけでは、そもそも四男の元へ行けない。方法も体力もない。

消去法で次男の息子が案内と状況判断をし、四女が家系を案ずる代表をする形になった。

かくして、20年間行方不明だった、今や家系の直系男子第一位である四男の元に2人で向かう。

家系に戻るのか、そのまま大阪に留まるのか。
そもそも健常であるのか、要介護が必要な身なのか。
今までどうしていたのか、これからどうするつもりなのか。


元々は10人兄弟。
でも、かなりギクシャクした関係。

男系は次男が一人息子を儲けたのみで他は独身。
女系は子だくさんだが、相手の家に入った身だから、あまり家系のことに首を突っ込みたがらない。

そこそこ人数はいるくせに、四男のことを心配できるのが3人しかおらず、実際行動ができるのは2人という事実。



あえて例え話で書いたけれど、うちの家系は面白い。
来年、大阪に行ってきます。
鬼が出るか蛇が出るか。
四女とその息子の気持ちを伝えに出張ってきます。

まったく。
面倒なことを押しつけてくれるぜ、と。
面倒な気持ちを押しつけてくれるぜ、と。

人と向き合うということは、こういうことも考えなきゃいけないということ。

人間復帰するのは、案外難しいな。
と、例えば思うのだ。
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