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空虚惑星⊿X

何か有意義なことをしようと改めて考えてみたら、「アレ?何もやることないぞ!」と気が付いた星の人が綴る日記

むかし僕が死んだ家

むかし僕が死んだ家

昔の彼女から連絡があった。
内容を要約すると
『育児ノイローゼに掛かっている自分が子供を全く愛せないのは、幼少時の記憶がないからではないか?
 だとすれば、その記憶を取り戻して普通の生活を送りたい。
 死んだ父親が不審な行動を取っていたのを知っており、どうも自分の記憶と関係がある気がする。
 父の行動を把握して記憶を取り戻すための旅に同行してほしい』
というものだった。

すでに別れ、彼女は結婚して子供も設けている。
理由はどうあれ第三者から見れば彼女と旅行をするというのは不倫に見える。
僕は一度彼女の申し出を断ったが、彼女の子供に対する虐待とそれをしてしまったが故の心の傷を知り、仕方なく同行することにする。

僕たちが向かった場所は、古い大きな屋敷だった。

地方の別荘地帯から少し外れた誰も住まない大きな屋敷。
電気も水も通っていない。
しかし、食料があったり本があったりと生活感はある。

彼女はここに来たことがあると言うので、それを頼りに部屋を物色することにした。
しばらく誰も来ていないようであるし、そもそもこの屋敷の鍵を彼女の死んだ父が持っていたことから、ここの管理か所有は彼女になっているのではないかと思ったからだ。
とはいえ、これは正式な話ではない。
彼女の記憶を探すためにムリにこじつけてそう考えることにしたのだった。

調査を進めていくうちに、素人ながらも推理できるような品物が出てくる。
特に少年の日記は重要だった。
家族構成や少年の心情が拙い字体で書かれていた。

その日記の中に少しだけ彼女の名前が出てくる。
それほど多くはない。重要な項目として考えることもできない、ちょっとだけの登場だ。
でも彼女は確信する。

「私はここに来たことがあるんだ、ここに私の記憶がある」

日帰りの調査のつもりが、一晩を超える長丁場の調査に変わっていった。


帯に書かれる『登場人物は二人だけ』に過敏に反応。
(どういうこと?)という思いで購入。

正確には、屋敷から少し離れた場所に観光地があり、入った飲食店で屋敷の話を聞くという場面があるので、『二人だけ』ということはない。が、それを言うのは野暮なのだろう。

ほぼ二人で進む物語で、一読すると、その昔流行した『弟切草』に似ている気がする。
かなり面白かった作品なので、ここら辺にインスパイアされたのではないだろうか?

パクリとは思わないし、こちらの面白味もあるので読んで損ということはない。
ただ読後感としては中途半端に終わった感が残るかも。

東野作品は、この読後感が『パネー気持ちいい』ものと『バッサリ切られたなぁ』というもので印象が違う。
あの東野圭吾ですら、ラストの締め方には苦労するのかもしれない。
いつか、ラストの研究をしてみたいものだ。

意外な展開はもちろんあるが、『非常に衝撃的』ということはなく地味に進む。
多分ミステリに属すると思うので、筆記用具必須で楽しむと一層面白味も増すだろう。

古い本だが、時代に関係なく読めるのでいつでも読んでください。
個人的には実写映画化したらサスペンスものとしていけそうな気がする。

でも、もうひとネタ足さないとダメかなぁ。
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