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空虚惑星⊿X

何か有意義なことをしようと改めて考えてみたら、「アレ?何もやることないぞ!」と気が付いた星の人が綴る日記

六日目 立山・剱岳

130816 剱岳01

今日は剱岳だ。

雑誌などによれば、最も美しく、最もスタイリッシュな山。
登山をするなら、誰もがいつかは登りたいと思う場所。 …らしい。

ま、確かに、写真で紹介されるルートを見ると難易度は高そうだし、今ここで見る剱岳の容貌は美しい。
やはり、いつかは登らなければならない山だと思う。
人生中、パスできない山なら、機会を得て挑戦するべきで、なんとなく、それが今な気がしたわけだ。

日本アルプスラインから、立山ラインへ9000円かけて移動してきたのは、そんな自分の気持ちに従ったまで。
どうしても登りたかった。


昨日の疑問と調査によると…
最近は晴れが多いが、午後3時くらいからガスることが多いようだ。それが剱の常らしい。
一般ルートなら、往復8時間見れば問題ないということだった。

剱澤小屋は今日も満員らしく、ということはシニアの登山が多いと思われた。
その場合、道(崖?)が狭く、追い抜きが多くなることが予想され、人数が多いパーティは抜かしにくいだろう。
あと、順番待ちも多くなると予想された。
「それなら、遅めに出発したらいいですよ」
テン場の使用料を支払いに行ったついでに、管理者に訊ねたのだが、往復8時間を見ても7:00に出ても15:00に帰って来れる。
シニアの方々は早朝に出る方が多いので、そこまで遅らすと渋滞に巻き込まれないらしいですよ、ということだ。


そこで7:00出発とした。

今日もこのテン場に泊ることになるので、テントに大きな荷物を置いて、水と食料と救急セットの軽装で行く。
こうなると機動力がマジ向上するので、往復8時間ということはないだろう。

起きる時間が2時間も遅くていいという状況だが、全く夜更かしできず、20:30に就寝。
5:00に起床。退屈な時間を剱を見て過ごす。

昨日ガスっていた剱も今は明瞭。
双眼鏡を覗き込むと、登山者が苦戦して登っているのが見える。

「ああ、あれがルートか」

登山ルートを直に見ることで、難易度と行程時間を予測する。
…確かに、難易度は高そうだった。
だが、今日は軽装。
どんなところだって、シニアが越えれる場所ならばボクが越えられないわけがない。
そう思って今日の行程をスタートさせた。


雪渓を渡ったり、ガレ場を登ったりと、最初はなだらかで普通の山の様相。

だが鎖場はすぐに始まる。
(鎖を使うほどではないな…)
鎖場だからって必ず鎖を使うという道理はない。
むしろ、ボクにとっては鎖を使う方が危ないという判断も多い。

ひとつひとつ判断をして登っていく。

普通の山、【一服剱】で文字通り一服。
今日最初に出会った行程中の登山者と会話をした後、道を譲られて先に進む。
130816 剱岳02


勾配が急になる。
『ウォーク』という動作が『クライミング』に変わる。
45度か、それ以上の崖が中心になってくる。
鎖場の出現も頻度が上がる。

ボクは他の登山者を緩やかにパスしながら登っていく。

【前剱】で本日最初の休憩を取った。
前剱はルートから少しだけ外れていて、意識的にでないと来れない。
本ルートは人が多いが、前剱は誰もいなかった。
ほぼ快晴。
ずっといたいほど心地よかった。

130816 前剱より臨む


剱への道中は厳しさを増していく。
両手両足を使ったクライミングが多くなってくる。
さすがに鎖を使ったほうが安全な場所も多くなってきた。

(足を滑らせたら死ぬなぁ)

という場所も非常に多い。いや、そんなところしかないか?
それでもしっかりとした靴と山歩きの経験があればなんとかなる。
これで落ちてしまうには、自殺願望でもないとムリだろう。
とはいえ、年に何人かは落ちているのだろうが。
130816 剱岳03 鎖場  130816 剱岳04 人が見えますか


剱に入ってからは順番待ちもあるにはあり、だが、待ち時間で他の登山者と話したりして楽しんだ。
130816 剱岳05 カニの縦ばい


それでも各登山者を追い越し(皆さん、道を譲ってくれてありがとう)、【剱岳】登頂。
時計は9:45で、休憩含む2時間45分で到達した。

130816 剱岳06 登頂  130816 剱岳07 剱より臨む


頂上は人で混んでいた。
多分だが、登頂者ピークのタイミングに追いついてしまったのではないかと思う。
この時間は、きっとそんな時間だ。

写真を撮っていただき、お返しに写真を撮ってあげ、満足したので昼食にした。
簡単な行動食しかないが、すぐに降りてもテン場に早く到着しすぎてしまうし、ゆっくりすることにする。

剱岳。
良く晴れ渡って一周見ることができた。
昨日まで歩いていた尾根もすぐそこに見える。
かなり遠い場所のはずだが、光の情報伝達はすぐそこに山々を映し出す。

このワインディングがとても好き。
これが頂上の醍醐味。縦走の醍醐味だ。


1時間近くの昼食のあと、下山開始。
途中、登りの時間で結構多く話した青年にまた追いつき(この青年も足が速いのだが、順番待ちに巻き込まれていた)、前方を歩く下山者の後ろで色々話すことができた。
基本、登頂の充足感後のことだから、会話も軽快だ。あとは帰るだけ。気持ちは軽い。

ゆっくり歩いても、それ以上にゆっくりな方々に道を譲られ、急ぐわけでもないが速足で下山する。これがボクのデフォルトだ。しかたない。

12:30テン場に到着。
下山は休憩なしで(順番待ちで充分休めた)、2時間だった。


帰ると隣の住人が変わっていた。
向かいのテントも変わっている。

たまたま隣人が話好きだったようで、多く残った午後を会話に使った。

ビールも今日は2本。
この旅もほぼ終わり。

130816 雪渓で冷やす 130816 午後のひととき

予定していた行程は90%終了。登る山はもうない。 

今回もまた、無事に旅を終わらせそうだ。
今回もまた、無事だったか… とも思う。

無事に帰る予定だが、無事だというのが信じられない。
毎回、よく無事に帰れるもんだな、というのが本音。

今日までの旅を反芻しながら、無事を不思議に思いながら、酒を飲む。

なかなかない、長い旅。
体力勝負の辛い旅。
しんどいしんどい耐える旅。

ま、ボクに向いていた旅だったと言えるかな。
でも、6泊7日はやり過ぎだな。
次はもう少し短くて優雅な旅を企画しよう。


ボクは思いを巡らす。

剱はその偉容をいまだ顕わにされており、下山者登山者がまだ見える。

やったボクが言うのもなんだが…

「みんな物好きだなぁ…」

つい、本音が漏れた。
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