最終ステージ。

北海道での生活も今日で最後か。

本日の天気は雨。
日が経つにつれ、天気が悪くなるな。
夜のような寒さが、今日は一日中続くことになる。

また4時に起床。
もう慣れたもんで、毎日が濃い北海道の記録を日記に記していく。
そして、今日の短い時間で何をするか、できるか計画する。雨でも楽しめることを考えよう。

昨日と同じく9時にチェックアウト。
9時半開店の蕎麦屋に行く予定。ゲソ丼が食いたい。
駅でこれまた昨日と同じくロッカーにザックと登山靴を置いて、出発。
しかし、ゲソ丼の店は開店しなかった。
さて… どうしたものか。また二葉か?
そーいや、駅ナカ立ち食い蕎麦があったな、あそこにしよう。

立ち食い蕎麦もかなり好き。
毎日食べてもいいくらいだと思っている。朝飯に丁度いいからだ。
でも日常色が強く、旅行に来てまで食うもんか? という感じもするから避けていた、が、これはチャンスなのだろう。
蕎麦ゲット。ここで食うなら9時半まで待つ必要なんかなかったな。
我輩定番、かき揚げ蕎麦で腹を満たす。
うむ、満足。
でも、ゲソ丼食いたかったなぁ。それは残念。

土産を買いにバスで道の駅へ。
しかし、思ったほどの成果なく。トンボ帰りの憂き目。

そろそろバスの利用の仕方がわかってきた。
いろんな経路のバスがあるが、目的地が旭川駅周辺ということが多い。
旭川駅に帰るときは付近にあるバス停の時間を全てチェックした方がいい。
道の駅付近には3つのバス停があり、それぞれ旭川駅に向かうバスがある。
一番自分の都合にあうものを選んで乗るのが賢いみたい。

バスに乗る。
乗車時間短いのに寝る。
なんか、昨日からバスに乗ると瞬時に寝れる。
暖かいし安心するし、考えることがないから寝ちゃうんだろうな。

旭川に着くと、今度はラーメン村へのバス乗り換えだ。

170912_旭川ラーメン村

ちょうど昼時になってしまった。
雨だというのに人が多い。
鳥ダシのラーメン店に入ったにも関わらず、旭川ソウルフード『ホルメン』を注文。
完全にラーメン村に来た意味がない感じで食してしまった。
本当なら半ラーメンを頼んで2軒以上ハシゴするのが定石なのだろうな。無視しちゃった。

…が、思う。
旭川駅付近に滞在するなら、ラーメン村にくる必要ないな。と。
ラーメン屋がいっぱいあるのだ。
歩けばぶつかるほどにたくさん旭川ラーメン店が軒を連ねる。
うん、次回はここには来ないぞ。

旭川に到着したのは15時前。
最後の晩餐前に、土産を買っておこう。

高校時分から世話になっている友人家族へ土産郵送。
結局、イオンの現地物産店で買うことにした。
あとのバラマキ系土産は空港で買おう。持つの重たいしな。

で、ノルマが終われば最後の晩餐だ。

170912_新子焼と日本酒
旭川名物『新子焼』
本当に名物かどうかはわからんが、鳥の半身が焼かれて出てくるという。
新子焼でも老舗で元祖的な大衆酒場『ぎんねこ』へ突入。

常連さんしか入らないように見える古くて狭い居酒屋だが、入ってみるとフレンドリーだ。
新子焼を頼むのが観光客だと理解しているようで、「写真撮ります?」とか、気を使ってくれる。
気分上々。最後にここに来てよかった。
とてもいい雰囲気で呑むことができた。
あまり飲まないくせに、日本酒を飲んでしまった。雰囲気に流されたのだろう。
次来るときも、ここには来たいと思わせる、いい居酒屋だった。
でも焼き鳥専門です。

さてさて、旭川もそろそろ終い。
駅から空港まではバスだ。最後までバスのフリーパスを使い倒すぞ!

待ち時間の間。
名残惜しい気がして北海道限定サッポロクラシックを飲む(笑)

ああ、これで最後か。
明日は仕事か。

今日は何時に自宅に着くかな??

思えば4泊5日の縦走をして、2泊3日の観光をしたのだ。
独りだったが充実していたな。
天気だけがアレだったが、ま、いい旅だった。

これにて北海道の旅は閉幕。
一路、自宅への向かうのでした。



北海道最終ステージ

今日もまた4時に起きてしまった。
それほど多くは寝ていないんだよね、6時間くらいか。
こっちに来てフル稼働が続いているが、睡眠時間が少ないのは…やはり緊張があるのだろうか?

旭川のホテルには大浴場があるところは数か所。
安い宿から入っているので、そういうところには縁遠い。
つーことで、昨晩はイオンで入浴剤を購入して部屋風呂を楽しんだ。

「ああ、なんかチョイ寒なんだよなぁ…」

朝、我慢できないほどではないが、寒い。
空調は冷房固定らしく、ひねれば部屋が冷える。暖まりはしないらしい。
1時間ほど日記など記録していたが、飽きたので風呂に入ることにした。

(!! …やはり、朝風呂、良いっ!)

シャキッとして、眼が覚める感じ。
体も暖まり、がんばれそうだ。
これは明日も続けなければ!


さて、観光だが、どこに行こうか悩んでいた。
近場なら夜でも行けそう。食事は日に三回ほどしかできないし…
トレッキングや体を使うこと、見ること、中二病患者のボクとしては、『神居古潭』が気になった。
ゲームとかに出てくるよね。
その帰り道に『雪の美術館』がある。これ、どこかのテレビニュースで取り上げられていたような気がする。
アナと雪の女王がヒットして、イメージがピッタリだとかなんとか…
その近くに温泉もあるし… よし、今日はそんな感じで!

朝食から楽しみたいので9:00にホテルを出た。
旭川駅でデカイザックと登山靴をロッカーに預け、ラーメン青葉へ。
こっちの青葉とは違うよね??
旭川ラーメンでも老舗で、朝9:30から開店する、朝ラーメン店だ。
結構客足も多く、狭いカウンターとこちらも狭い二人掛けテーブルにはちょうどいいくらいの間隔で人が埋まっている。
しょうゆラーメンを注文し、食べる。
こってりではない油が多く、熱い。味もしっかり。
グルメレポートブログではないので、この程度で終わるが、朝からラーメンを食べられるなんて、この上なく贅沢だと感じた。

ようやく汗も出てきて、観光本番。
10時を越えれば待ちも起きてくる。
バス二日間乗り放題の観光用フリーパスを購入して一路神居古潭に向かう。
…が、バスの運行が少ない。
バス会社は3つ。とてつもなく路線もたくさんあるのだが、それぞれが1時間に一本程度の運行で、ひとつ間違うとそれだけ待たされる。
フリーパスで乗れる会社のバスでは快速というのがあって、ボクが乗りたい時間のバスでは神居古潭を通過してしまうという。では、ならば、、 フリーパスが使えないバスを見てみた。
すると15分後に出るという。
旅先の時間は大切だ。1時間後出てフリーより、600円だして15分後を選ぶ。

バス乗車。発進。=爆睡(笑)

景色を眺めることもあまりなく、即座に寝てしまった。
こんなところに疲れがっ!
バスは最初から神居古潭までボク一人の乗車だったようで、運転手に起こされた(笑)

170911_神居古潭
神居古潭。
非常に人がいなかった(笑)
もう、怖いくらいいない。観光名所…なのだろうか?

しかし眺めはよく、伝説も面白い。
神居古潭= 神の要る里 のことだが、この神って魔神だって知ってた?
マジかよっ、神いづる場所っつーことじゃないんかいっ!
ビックリ展開に面白さ増える。
奥に行くと機関車が置いてあり、旧神居古潭駅が登場する。
すでに簡易的な資料館になっているが、レトロな感じがいい雰囲気を醸し出している。
ただ人がいない。怖い(笑)

トレッキングコースに神居岩があるので登ってみる。
…が、こちらもプチ藪漕ぎで、人が入っていないなー、ということが見て取れる。
人気ないのか? ここ。

行動はバスの運行時刻優先。
神居古潭をトレッキング込みで2時間で済ませ、バスに乗る。
15分ほどで下車。
今度は雪の博物館に行く。

雪の博物館。
おやじ一人で見学は気恥ずかしいが、一緒に行く人もいないし、見たいという好奇心が勝つ。
写真をパシャパシャとりながら向かう。
外からみるとお城のような建物が見える。あそこだろうか。

明治レトリックな煉瓦造りの門を越え、場内へ。
手前に雪の美術館、奥にも立派な建物があり、これまたレトロでいい感じ。
なんか、心に響くな、この建築。
170911_雪の美術館01
さて、美術館に入る。
受付の人をひと談笑して、奥の建物を復興させるための署名にサイン。
階下へ。
品のいい螺旋階段を雰囲気を楽しみながら下ると噴水。
奥に進むと人工的に作られた氷の展示場で、2度くらいの室温!! 寒いっ!
その廊下を過ぎると美術館本編に入る。

そこには西洋文化の館の姿があった。
「お、おう…」
思わず感嘆をもらしてしまう。
す、素晴らしい… こういう館に我輩は住みたい。

170911_雪の美術館02

高級洋風家具もさることながら、教会かコンサート会場か…と言わんばかりのステージも素晴らしかった。
ここでバイオリン弾けたら… 思い出になるな…。それも人生の思い出… って、それ、冥途の土産っつーんじゃないか?

とにかく眼福ものの造形美がそこにあり、それはファンタジー好きなボクには非常に感動できるものだった。
是非、旭川上陸の際は(道央で海はないが)お立ち寄りください!!

かなりの時間をそこで過ごした、もう15時過ぎだ。
次は観光ならぬ、温泉と洒落込むつもりだった。
バスが来ないので歩いて移動。高砂温泉に。
評判では、『温泉好きが作ったんだろうなぁ、と感じさせる設備』ということだったので期待感高まる。
…が、今日に限って、「17時まで修理中…だと?」
時間にそれほど余裕はないので、ここは諦め、雪の美術館前にある万葉の湯に行くことにする。
チェーン店だろうが、その土地の気分は味わえるだろう。

「もう歩くのイヤ」

バスが20分後。多分歩いてもそれくらい経ってしまうだろう。バスなら5分だ。
初日にバスか歩きかを選択して酷い目にあっている。これはバスが正解だ。
待ち時間の間に今夜宿泊するホテルを決める。
月曜日なので昨日とは条件が違う。少し高いがそれでも5000円そこそこのホテルに決めた。

バス乗車。万葉の湯で温泉堪能。17時。旭川に帰る。
かつて知ったる旭川。チェックイン前にラーメンを食う。
梅光軒。
ここも旭川ラーメン老舗。らしい。
しょうゆラーメンを食う。うまい。
北海道らしい脂っこさがないのだが、これでいいのだろうか? とは思うが、うまい。
しょうゆラーメンということだが、醤油っぽくないのだがこれでいいのだろうか? とは思うがうまい。
ダシ、何なんだろう? …醤油か。
とか思いながら食った。もう、ラーメン食うだけで達成感を感じている(笑)。

チェックインする。
今日はセミダブルベットの上にロフトベットがある最大3人泊まれる部屋だ。
「独り…だけどな(苦笑)」
つーことで、夜の部決行!!

イオンで入浴剤を購入した後、夜な夜な繁華街へ。

道央は魚介ではない…のは残念だが、で、あれば、肉を食うのみ!!
170911_旭川は鳥料理
90分呑み放題。
鳥三昧で入場。
もう、食った、呑んだ。
90分フルに使ってしまった。
本当なら時間前に帰るスマートさを発揮したかったが、結構独りでも盛り上がるものだ。

「今日もさみーなー」

北海道の夜は更けていく…



下山~吹上温泉~旭川

またもや朝4時に起床してしまった。
もっと遅くてもいいのに… つーか、時間を持て余す。
だからもう一回寝て、5時に起きた。

暇だ。
ゆとりだ。
安寧だ。

1時間も歩けば吹上温泉に着く。
しかし、開店は9時だという。

できるだけゆっくり過ごすべく行動を心掛ける。
ラジオを点ける。天気は晴れるというが、小屋回りは曇っている。山頂は変わらずガスの海だ。

これで最後か? 朝ラーメンを食し、スープを食し、コーヒーも啜る。
ありったけの水を使い果たし、ザックの収納作業をする。
だいぶ軽くなったザックに、今回の冒険での消耗を感じる。

4泊という長期遠征のハズだが、終わってしまうと短く感じるなぁ。

緊急避難小屋だが、登山の途中で立ち寄る人もいる。
2組の登山者を見送り、3組目が談笑している中、下山に出発した。
7:30だ。

そのまま吹上温泉までいく。
今日は日曜日で登山者が多い。下山中たくさんの登山者とすれ違った。
8時前の下山を奇異に見る人もいるのだろう。挨拶と共に声がかけられたりした。
時間もあるし、駐車場まで見ておこうかな…と思ったが、あまりの人の多さに面倒になった(笑)
あれらに挨拶しながら駐車場まで行き、奇異の眼に晒されながらまた吹上温泉分岐に戻るのはおっくうになってしまった。
もういい、直接行こう。

で、1時間。吹上温泉到着。8:30。

170910_吹上温泉
写真や露天のものだが、本当は日帰り温泉施設に到着。

登山者用の泥落とし設備があったので、開店までゆっくりと装備の汚れを落とす。
9時で入店。でも風呂は10時からだというので休憩室に向かう。

170910_サッポロクラシック
お、酒じゃん🎶
ビールの自販機みっけ。最近、あまり酒を呑んでいないぜ。
そういえば1ℓ 以下の低飲酒日をかなり稼いだんではないか? 健康だね🎵
そのままビールを購入して、体内に流し込む。 …うまい! 北海道はやっぱりサッポロだぜっ!!

座敷の奥に鎮座し、お風呂準備、かつ、撤退準備をして、さらに時間が余ったので日記を記入。
時間が来たからお風呂に入る。

ラジウム温泉だったか?
ネットでは茶褐色の湯色で… と書かれていたが、結構透明だった。
匂いもほとんどなく、なんとなくあっさり系?

道東のお湯は硫黄臭がキツく、濁りも濃かったので「キクーーーーッ!!!」 という感じなのだが、道央はあっさりなのだろうか?

4日ぶりの清めは気持ちよく、文明っていいな、と思わせる。
疲れが取れる… かどうかは置いといて、気持ちはかなりリフレッシュされた。

風呂上がりにビール購入。
腹が減ったが、カップラーメンを購入するよりは浮いた食料を減らそうと思い、明日朝分のラーメンを食べた。
行動色をツマミに、今後を考える。

本当なら、装備を乾かしたり掃除したりして、山近くの夜空を眺めながらキャンプしようと思っていたが、生憎の曇り空。しかも結構雲が厚い。これはいくら待っても晴れ間はでなそうだ。
…で、あれば、旭川に向かうか? うまいもの食うか?

そんな気持ちも高まってきて、街に向かうことにした。
14時前、今日2本目(!)の駅行きのバスに乗る。
さらば十勝。今度は晴れたときに登りたいぞ!! あばよ!!


上富良野駅に到着し、少ないJR電車を待つ。
かなりまったりだなぁ。
そして来た電車は…

170910_ノロッコ電車
なんとノロッコ電車。
観光名物的な電車に乗れてしまうとは。

富良野に来て天気は晴れてきた。
富良野と言えば自然いっぱい。見たいものがありそうだが、情報を仕入れていないし、どうせ半日じゃ見きれない。どうせ見るなら本気で来よう…ということで、未練なくノロッコに乗車(笑)

美瑛までをゆっくり走る。
車窓からは北海道の雄大な農地やら、先まで伸びる直線やら、、、北海道らしさがよくわかる。

美瑛からは普通電車に乗り換えて旭川に向かう。
ここで問題。今日はどこに泊まるんだろう?
ホテルをネットで探し(やっぱり途中で電波が途切れることもある)、旭川駅でようやく決めた。
日曜日ということもあり、駅近だけれど激安だ。

ホテルに行く前に軽く食事がしたい。そして登山靴で歩くのが野暮ったいのでサンダルも欲しい。
欲望を叶えるついでに旭川探索。でっかいザックを持って何してるんだか(笑)

170910_一蔵ラーメン
とりあえず、一蔵ラーメン。旭川はしょうゆです! 美味でした。お腹いっぱいになっちった。

デパートでサンダルも購入してホテルにチェックイン。
ツインの部屋を割り当てられて広くてラッキー。
くつろいだら根が張りそうなので、暗くなったところで呑みにでかけた。

また旭川探索。グーグル先生に頼りっぱなし(笑)
北海道さみー。マジ、もう秋深いわー。
170910_旭川寒い

おひとり様でも歓迎、の、海鮮居酒屋に入る。
170910_牡蠣
170910_海の幸
独りでビクビクしていたが、酒を呑んだら落ち着いた(笑)

大きな牡蠣と海鮮。
他、イカ焼きやらまた牡蠣やら…と、大いに食ったし、呑んだ。

満足してホテルに帰宅。

今日一日を振り返って、

「ああ、文明っていいなぁ。すげー、たのしい」

と、のたまって就寝したのでした。



51座/百名山【十勝岳】

どうせ晴れていないだろう。
そう思って目を覚ましたのは4時だった。
外は明るみをはらんできている時分。

でも今日は長く歩くことになるだろう。
藪漕ぎもあるかも。。。ああ、トラウマ。
サッサと起きておかないと…

と、外を見ると… 晴れている!

即座に表に飛び出して、今にも出そうな太陽光に映し出せれる山脈の影。

170909_十勝岳へ01
この双子池野営指定地は、多分、晴れてさえいれば美しい景観を見ることができる場所だ。
藪漕ぎの果てに吐き出された場所かもしれん。
ずぶ濡れで、寒さに震え、溜まり水をすすり、豪雨にさらされたとしても(やっぱトラウマだわ)、ここは多分、美しい。
その真の姿がここに現れる!

素晴らしい! 紅葉と日の出と山影のコラボ。
やべぇ、いつまでも見てられるぜ…
…と、カメラが急にダンマリする。あれ、電池切れだ…

マジかよー! 昨日充電したじゃん! なにこれ!!

叫ぶボクだがカメラは容赦なくシャットダウン。
これ以降、何をしても1秒で電池切れとなる。
しゃーなし。こっからはスマホでがんばろう。

とにかく、日が昇る間に食事を摂る。
今日の夕飯のことも考えて、溜まり水も少しだけ補給しておく。
出る時間は6時としていたが、少しだけ遅れて…

急にガスってきた。
即座にガスった。
つーか、もう、山脈見えねぇ…

たった15分で視界が100m ほどになってしまう。
まだ冷たい風と、少々の雨に晒される。
どうやら、山の祝福は終わりのようだ。
『さぁ、もういいだろ、さっさと旅立ちなさい』
とでも言うように、あからさまな豹変ぶりに退去する。
「本当、今度は晴れてるときに来たいわな。(藪漕ぎさえなければな!)」
ボクは晴れた日のこの地の素晴らしさを感じたかったが、出発を余儀なくされた。

さて、
ここから一気に500m 以上標高を登る。
コースタイムだと2時間だが、少しでも時間を稼げるとうれしい。
本日最初の難所は、突如立ちふさがるわけだ。

雨と霧がすごい。
いや、雨はさほどではない。霧がすごい。
視界は100mを下回ったのではないだろうか? 本当にあまり見えない。
登山道をしっかり確保するのに注意する。
藪漕ぎは今のところなし。良い登りが続いている。

1時間30分後。最初のピークに辿りつく…が、

『びゅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』

風がマジ、やべー。

ガスで視界が悪い上、稜線向こうからの吹上の風が半端ない勢いでボクを打つ。
気温は確か7℃だったが、風のせいでかなり寒く感じる。
レインウェアの上下を着ているが、まったく暑くない。蒸れも汗も感じない。
やや、肌寒いくらいで済んでいるが、ハッキリ言って、風はやばい。

稜線の細いヨコバイなどはバランスを崩さないように気を付けた。
不意な強風にさらされたらバランスを崩して滑落しそうだ。
それほどに風が強かった。
逆に、山影に隠れることができれば全然暖かかった。
本当ならこの温度なんだよな…と、冷静になりながら先に進む。

そういえば、今日は藪漕ぎがない。全くない。
良い道だ。一般的な登山道だ。
昨日までの道程とくらべ、明らかに違うこの道は、人が通る道だった。
ここまでの登山はされるのか?
大雪山系から十勝山系の山脈に移る際の間の空間(昨日ボクが通った道)だけが人気ないのか?
昨日苦しめられた藪漕ぎゾーンとは全く違う、トレッキングの世界がそこにはあった。

いいぞ、ロケーションこそ最悪だが、道が良ければ差し引きゼロという計算ができそうだった。

それ以降、ガスと風には悩まされたが、進みは早かったと思う。
時折ガスが晴れることもあったが、十数分と持たず、だいたいはガスと風の一日になる。

美瑛山を越えると、ようやく十勝岳に足が掛かる。美瑛の登りはじめまでが10時半だ。
躊躇なく、美瑛の登りに差し掛かる。
ガスが強い。視界は50mか?
風もさらに強くなった。ときより吹く強風でこけそうになる。明らかに朝より速い風だ。

「!!…寒い、だと?」

とうとう登りで寒さを感じてきた。
登りで寒い。これは由々しき事態である。
防寒具を着るか、このままいくか。
防寒着を着て暑くなるリスクが嫌で、そのまま進むことにする。が、寒い。

美瑛頂上。11時半。
寒い。
ここから十勝岳へと向かえるはずだ。コースタイムは2時間半だったか。
…だが、見つからない。
登山道がみつからないのだ。

方角的に進んでみると、滑落コースな急斜面。
登山道と思わしき道を進むと… 美瑛-十勝分岐まで戻ってしまう。
おかしい。くそ寒いのにグズグズしている暇はない。
ボクの脳裏に(引き返すのか?撤退か?)というイメージも浮かんできた。
それほどに事態は急いていたのだ。
とにかく風が冷たく、視界がない。
道をロストしたら最後、どういう迷い方をするかわからない。滑落する危険もある。

そんなときの強い味方、GPS!!!!!!

登山地図をリンクさせたスマホのGPSを起動させる。
これで見つからなければ、美瑛麓からの撤退も視野に入る状況だ。

「おかしい。この道がここで終わってはいけない。南に行ける、急斜面ではない登山道があるはずなんだ…」

滑落しない安全確保レベルで南端まで進む。
ない視界の中、右手に赤い矢印を発見。みつけた!!
隠れ道かよ。。。

稜線の細い崖渡りがあったものの、それ以降は比較的チョロイ道が続いた。
玉砂利の上を歩く。地表が黒い玉砂利だ。ここは火山なのか?
富士山を彷彿とさせる登山道を進む。

美瑛の登りの凄まじさに比べ、風がないだけで本当に緩く感じる。
「チョロイな、ここ」 そう思ってしまう。
ほどなく、十勝岳麓に到着。そのまま登る。
マジで富士山の砂走みたいなところで、思ったより登りが面倒。
でも、風がないだけマシ。命の危険がないというのは意外に心に余裕を持たせるものだ。

というのもつかの間。
ついうっかり道を間違えてしまい、いつのまにかクラックを登っていた。

リボンが見えたのだ。登山道のリボンが。
だからクラックを登ったのだが、いくつか岩を登るうち…

「あれ、これ、難易度高くね? いままでの十勝難易度がおじいちゃん登坂レベルだったのに、ここ、山男登山レベルになってるんですけど?」

気が付くと傾斜50度ほどの砂走。
一歩踏み込む… すると砂走により踏み止まれず下に流されそうになる。
雪の日みたいに爪先でキックしてから踏み込む… んでもダメみたいだった。
これは砂走は危ない。

左手には切り出して層になっている岩がある。
これを伝って登れば、なんとか安全圏に入れるのでは?

岩に取り付く。
しかし、触るともげる。踏み込むと踏みぬかれる岩ばかり。
ボクの体重を支えるのは心元ない。

緊急事態だった。
降りようとすれば、きっとどこかで足を滑らせて滑落しそうだ。
砂走はアリジゴクのように滑落するだろう。
固定された良い岩を見つけなければ、掴んだ岩がもげて滑落なんだろうな。

ボクはWストックを背中に納め、ハンズフリーになった。
ほぼ四つん這い… スパイダーマンスタイルで岩を登り、砂走を這った。
緊張で息が荒い。マジ、一つのミスが滑落を生む条件下だ。

このまま登るか?
登れば頂上はひとつに絞れるから必ず正解にたどり着くだろう。
しかし、滑落リスクは高まらないか? このまま難易度が上がり続けたら…
そう思い、冷や汗をかくが、思いついたこともあった。

本ルートはどこだろう?
できるだけ横這いに進めば本ルートに合流できるのでは?

頂上へ向かう線と、本ルートに復帰の線で登坂開始。
少し進んでは緊張した足と体をほぐし、あたりを見渡して最良のルートを探す。
安全、安全。
とにかく一番安全なルートで頂上か本ルートに復帰するのだ。

しばらく横這いしたころ、砂走の角度が緩んだ。
見渡すと… 表示が見える! どうやら本ルートがそこにあるらしい。
角度が緩んだ砂走なら、転んでも滑り台のように滑るだけだろう。
本ルートに復帰すべく、駆け出した。

そして復帰。
今回の旅で一番の命拾いだった。

息が荒い。
安堵感が半端ない。
危なかった…。

息を整えて、靴のなかの砂利を掃って、再出発。

170909_十勝岳へ03

視界は相変わらず悪い。20m かな? 本当に見えない。
そんななか、とにかくもう本ルートから外れたくないボクは、注意しながら進む、、、が、これも難しい。
20m の視界ではすぐにどこにいったらいいかわからなくなるのだ。
砂走なので足跡がない。遠くが見えないので全体的な流れがわからない。
しかし、表示は短い間隔でそこにあり、ギリギリ、前の表示が消えて見えなくなる前に次の表示が見えることに気が付いた。でもギリギリだ。

そんな感じで進んでは道を修正する作業を繰り返す。
ハッキリ言って眺望もないし、風も強いし、遭難ポイントではあるのだが、もうここまできたら十勝岳に登りたい。もう、登ったっていう証拠が撮れればいい感じ(笑)。

ふと、一気に晴れだした。
日光に見放されていたから、暖かい日差しなんてこの世にあると思ってなかった。
不意にガスが晴れる…

「あ、頂上だ…」

そこに頂上があった。
晴れてる内に…写真を撮る。
そして登る!

170909_十勝岳へ02
登頂。
疲れた。
さくさくと補給を摂って下る準備。

予定では上ホロ野営指定地というところで今夜は過ごすつもりだった。
が、これ以上稜線上にいて楽しいか?
稜線上はこれからも強い風とガスに苛まれると思われる。

静かで綺麗な夜を期待しての稜線泊だが、どうやら期待できないと思う。
逆に、苦労ばかりするだろう。
ならば… 降りよう。

最短ルートとして準備していたエスケープルートを進むことにする。

途中、硫黄臭がキツくてガス死するんじゃないかと思われるところもあったが、なんとかルートも確保して進めた。

170909_十勝岳へ05

あるとき、ふと、晴れた。
振り向くとガスの層がある。
横を向くと… ハッキリとガスと清浄な空間の層ができていることに気が付いた。
1500m 地点から上がガス。下が清浄。
これはダメだ。これは稜線上はしばらくガスだ。そう思って、降りてきたことは正解だったと確信した。

170909_十勝岳へ04
十勝岳緊急避難小屋には野営指定地のマークが出ていたハズだが、営幕できそうなところはなかった。
…ので、今夜は小屋にお邪魔することにした。

誰が入ってくるかわからない小屋って、案外怖いのだが、今夜は誰もこなかった。

最後まで残ってしまったビールとスコッチを平らげ、ラジオを聴きながら、世は更けていく。
1300m ほどのこの地点でも、今夜はやっぱり雨だった。

170909_十勝マップ





50座/百名山【トムラウシ】

170908_トムラウシ・藪漕ぎ01
本当なら昨日に登って締められるハズだった山、百名山 トムラウシ。
披露と計画外ナイトゲームになってしまったが故、今朝登ることに。

とはいえ、本日の行程は控えめだ。
なぜなら、次の野営地まで6時間半のコースタイム。
もう一つ先の野営地まで進むには更に3時間のコースタイムが示されていた。
それに空手で済むとはいえ、トムラウシに登って帰ってこなければならない。往復1時間か。

昨日のこともある。
10時間超を見込むのはしんどいと思えた。
だから次の野営地までとしよう、楽して次に備えよう、ということにした。

昨晩は少し遅かったから、本日は5時起床。
朝飯だけ食べて、軽装でトムラウシ登山と洒落込んだ。
標高差は100m くらいで済むのではないだろうか。
水と飴ちゃんと、双眼鏡とスマホとカメラをもって登る。
体が軽い。
いいなぁ、軽装は本当に登山のレベルを下げてくれる… いや、重装備が登山の難易度を上げているのか。
ともかく、ヒョイヒョイと登っていく。
30分強で登頂。

ああ、本当なら昨日登っていたのにな。。。とはいえ、重装備でここを越えると思うと膝が痛い(笑)
朝イチ、足の痛みも回復している今、軽装だから軽々登って来られたし、降りることもできようが、昨晩の状態で登頂と下山はどうなのだろう。更に苦行めいてはいないだろうか?

トムラウシ頂上。
ガスこそ出ていないが、曇り空。
ま、それでも眺望があったので良しとしよう。

昨日歩いた行程はすでに遥か彼方。見えない。
それほどに進んできたのか、と、呆気にとられる。

昨日も思ったが、意外に山が遠くなるのが速い。
多分、標高差が少ないトレイルが続くので、水平距離を稼いでいるのだろう。
振り向くたび、さっきまでいた場所がどんどん遠くなるのが見て取れた。
それはもう、“さきほど” が、“過去” になるくらい遠くの風景に見えるのだ。

もし、誰かひとり友人を連れてきて、「あそこまでいくよ」と言ったら、
『イヤイヤイヤ、あんなとこまで行けるわけないでしょ? あれ、隣の山脈じゃん!』
とか言われそう。
それくらい、もう地続きではないかのように遠くに旭岳が存在する。

写真は昨日の反省を込めて、膝を折って撮影した。


さて、野営地まで下って7時半。
ゆっくりと撤収した8時半には出たい。
つーて8:45出発。

しばらくは岩場が続き、今日は楽だな、、、とか思いながら進んでいたが…
「???????}
170908_トムラウシ・藪漕ぎ02
膝下くらいまでのブッシュが多くなってきた。

短パンで進むのも辛くなってきたし、にわか雨も降ってきた。
ここはひとつ雨ズボンを着用して進む。

さすが北海道。
ワインディングは素晴らしく、見晴らし最高。
曇っているのが残念だが、開けたところはまるでファンタジー世界のようだ。

170908_トムラウシ・藪漕ぎ03
だが、なんか藪が濃くなってきたような…

170908_トムラウシ・藪漕ぎ04
あれ、これ、獣道…
えっ、これ、登山道なの???

胸ほどにも育ったブッシュがボクの行く手を阻む。
つーか、あまりにも登山道だとは信じられなかったから、今回初めてのGPSを使って確認しちゃったよ!
「オンコース…」
確かに、ここが登山道らしい。

ブッシュに入り、凄まじい距離を歩かされる。
迷っているのと間違うくらいの不明瞭さの道。
「ぜってぇ、この道誰も来てねぇよ!! 人気なさすぎでしょ、この道!!」
もう、どこからクマが出て来てもおかしくない。
クマと鉢合わせ…あり得なくない状況が続くが…
「いや、こんなにガッサガッサしてたら、先にクマが気づくでしょ! 熊鈴要らないからっ!」
とか、叫びながら(熊対策)先を急ぐ。
にわか雨が降ったあとだから、全身びしょ濡れだ。

下りでブッシュ。
登りでブッシュ。
ストックも使いづらい状況が続き、意外に疲労する。

登りで一息ついているとき、登山道の先で尻尾が見えた。
『くまっ!!??』
…いや、それにしては小さい。大型犬くらいの生き物だ。
ということはキツネ?

尻尾と行先は一緒。
ボクは避けることもできないので後を追う形になってしまった。

すると…追いついた。
キツネだ。

キタキツネ…だろうか。

昨日はエゾリスのオンパレードに逢って心和んだが、写真は撮れなかった。
今回のキツネは撮れそう?
と、用意していたら先に行かれてしまった。

逃げられたか?
と思い、後を追ったが、もう見えなくなってしまった。

ああ、また惜しかったなぁ。
写真に撮りたかった。

残念がりながらしばらく進むと、鎖場。
ああ、ここは登山道で合っていそうだ、と、人手が加わったところを見ると安心する。
鎖場を過ぎ、にわかに登りを終えて人息つく。
ふと、振り向くと…

170908_トムラウシ・藪漕ぎ05

ボクはキツネに狙われていた(笑)
しかも2匹に増えてるし。

間近に垣間見るキツネを前に、しばし恐怖する。
しかし、キツネが人を襲うとは聞いたことがないし、例え襲われてもコイツには万にひとつも負けないだろうという浅い自負でカメラを構えた。
彼らはボクが珍しいのか、逃げるそぶりはない。
むしろ、ボクを追っているようだ。
縄張りで監視しているのか、弱ったところを襲うのか? ただの興味なのか???
それはわからないが、しっかりと写真を撮ることができた。

あとは彼らの邪魔をしないように登るのみ。
しばらく経って振り向くと、もう追ってこなかった。


藪漕ぎが続き、、、、終始続き、想定よりも激しく疲労していた。
雨も降るし、ブッシュの露で全身ずぶ濡れ。
結局、本日のキャンプ地、双子池野営指定地に到着したのは15時半を回ってしまっていた。
コースタイムを上回ることができなかった。
結構カライわ、このコースタイム。

明るいうちに着いたはいいが、天候は下り坂。
水場がないのが結構致命的… だが、もう水がない。
ここは取っておき、浄水器でたまり水を取水するしかない。

北海道の山では飲める生水は貴重品。
今夜の食事用、煮沸させる必要のある水は、その辺の溜まり水を浄水器で濾して作ることにした。

気温が下がってくる。
でも8℃。
昨日までのキャンプ地とは違い、ここは標高が500m も低い。
0℃までは行かないハズだ。
とはいえ、全身が濡れている。
このままキャンプ着に着替えたいところだが、明日の再着用を考えると少し乾かしておきたい。
つーことで寒い中、2時間着用。そこそこ乾いたかもしれない。

キャンプ着に着替え、整理体操とストレッチをしながら夕食の準備。
…をしているとゲリラ豪雨に巻き込まれた。
結構な量の雨が降る。
1時間ほどで止んだが、それからは外はガスばかりでキャンプ着も濡れそうだから出なかった。
本日夜はテントで過ごすことになった。

楽勝なハズの行程が終始藪漕ぎ。
もう、藪漕ぎはイヤ。トラウマだ。
明日の行程はどうなのだろう。
この野営地からすぐ、登りが標高2000m 越えるところまで続く。
そこまで行けば、森林限界があり、ブッシュはやってこないように思えるが…
いや、このまま藪漕ぎが続くかも?!

不安のままに就寝となった。

170908_トムラウシマップ